人に優しく、地球にも優しいものづくりを目指す ー株式会社サンタンインタビュー
「価値ある”モノ”を生み出す努力とアイデアで社会貢献を」という理念を掲げ、ものづくりを通して社会貢献に取り組む、株式会社サンタン。
人の身体に害のないものづくりや、不良品を出さない商品設計、アジア最貧国と言われるネパールへの長期的な支援など、多角的な視点から社会課題の解決を目指す企業です。アエナと取り組む「捨てるをなくす」や、地球にも人にも優しい「OFF」についてお話を伺いました。
▼インタビュイープロフィール
株式会社サンタン 営業部本部長
杉﨑 誠(すぎさき・まこと)さま
株式会社サンタンとは?
日常を豊かにする生活雑貨の企画・製作を行う株式会社サンタン。そばにあると嬉しくなるオリジナルにこだわったものづくりで、様々な企業様と手を取り合い、世の中に楽しさを発信しています。
捨てる選択肢を減らすものづくり
ーーアエナの「捨てるをなくす」をテーマにしたプロジェクト、「Choose a Tomorrow Project」にサンタン様はすぐにご賛同いただきましたね。当時どのようなお気持ちで手を挙げてくださったのですか。
- 杉﨑さま
「Choose a Tomorrow Project」が発足した当初、私たちもネパールのさらなる発展を目指して、支援に特に力を入れ始めた時期でした。社会貢献のため、企業として大きく動くタイミングがちょうど一緒だったというところも、実はあるんです。
このプロジェクトのお話を伺った際、代表の大間知と話し合って「同じように社会貢献に対して強い思いを持ち、取り組みをしている企業だったら是非賛同しよう」といった思いで手を挙げさせてもらいました。
ーー同じ思いをもった企業にご賛同いただき、プロジェクトを通して繋がることができてとても嬉しいです。「捨てない宣言」のメッセージまでいただいて、当時は大変心強く感じました!プロジェクトへのご賛同や、オフプライスプラットフォームに参加したことで、サンタン様にとっても何か良い変化はあったのでしょうか。
- 杉﨑さま
アエナさんとの取引での変化はかなり大きいですよ。まず、商品を捨てるということが圧倒的に少なくなりました。まさに、企業として宣言した「捨てない」を実現できている嬉しい状況と言えますね。
ありがたいことでもあるのですが、売上が好調であるということは、在庫も多く抱えるということでもあります。数年前までは、「どうしよう……」と思いながらも、トラックいっぱいの商品を捨てざるを得なかったというのが正直な話なので、オフプライスのしくみには本当に助けられています。廃棄をほぼ0にしてしまうアエナさんの爆発的な販売力は、正直予想以上でしたね。社内でも、「何だこの会社は!?」と驚きの声が上がっていました!
「捨てない」ことは、環境への配慮という面はもちろんですが、やはりお客様のもとに商品がきちんと届くことが嬉しいです。今までは、商品を実際に手に取ったお客様の声が届きづらい部分もありましたが、「子供たちがすごく喜んでいます!」といった反応をいただく機会が増えました。「ああ、そうなのか」と個人的にも、なんだか嬉しい気持ちになりますね。
ーー他にも、廃棄の出やすい食品において、「捨てない」ための取り組みを行っていると伺いました。「つくり手」の立場として、フードロスにはどのように向き合っているのでしょうか。
- 杉﨑さま
食品の賞味期限を伸ばすことで、そもそもお客様が「捨てる」という選択肢を選ばずに済む商品をつくれるように、努力を重ねています。自社オリジナル商品のはちみつ紅茶を改良したことで、賞味期限を2年間に伸ばすことに成功しました。これは改良前の約2倍です!賞味期限を伸ばすことは、フードロス防止に大きく影響します。消費者の方はもちろん、販売する側も期限が長い方が安心して売ることができるというメリットがありますよね。
私たちサンタンにとって、「人に優しいものづくり」というのが共通のテーマです。はちみつ紅茶に関しては、カフェイン・アステルパーム(ヒトに対して発がん性の可能性がある人工甘味料)不使用にこだわりました。代わりに植物由来の天然甘味料であるステビアを使用しているため、低糖質・低カロリー。身体に優しいだけではなく、わざわざ砂糖を入れなくても、はちみつの優しい甘さだけでおいしく楽しめると、味も大変好評です。
ーー有害なものは「OFF」して、賞味期限を伸ばすことにも成功するとはお見事です!
「作った商品を捨てない」という意識はもちろんですが、そもそも「捨てる」という選択肢を可能な限り減らす商品設計は大切だと改めて感じました。
- 杉﨑さま
そうですね。食品以外でも、「捨てる」という選択肢を減らせるような商品づくりを目指しています。バスボールのシュワたまシリーズも、精密な設計と徹底した検品により、不良品を限りなく0に近づける取り組みをしています。
純粋に、楽しんでもらうために作っている商品なので、不良品でがっかりしてほしくないという思いも強いですね。
未来まで見据えた、愛のあるネパール支援を
ーーサステナビリティへの取り組みとして、ネパールへの支援に力を入れていると伺いました。アジア最貧国といわれていること以外に、ネパールという国に注目したきっかけはありますか。
- 杉﨑さま
もともと、大間知の甥っ子が青年海外協力隊としてネパールの子供たちに野球を教える活動をしていた、という点で繋がりがありました。そして、現地の話を聞いた大間知が「じゃあ実際に行ってみよう」とネパールを訪れた際、子供たちの教育環境や、衣食住が整っていない現状を目の当たりにし、「ネパールの人たちはすごく楽しく生きている。しかし、支援が必要だ」と確信したといいます。
そこから、2018年にはサンタン社会貢献活動部を設立。特派員を現地に派遣し、ネパールへの長期的な支援がスタートしました。
ーーネパールという国との縁が、さらに繋がっていった結果の支援なんですね。現地では、毎週「こども食堂」と「アート教室」を行っていると伺いました。様々な支援方法がある中で、なぜこの二つの支援を定期的に行っているのでしょうか。
- 杉﨑さま
まず足りていないものは「食事と教育」、そう判断しました。食事は生きるために必要不可欠ですし、教育環境が整えば知識をつけて世界中で活躍できる可能性が広がりますよね。日本でも、実は最近ネパール出身の方をよく見かけます。
子供たちに何を学びたいかヒアリングしたところ、「絵の勉強をしたい」という子が多かったので、本人たちの希望をそのままくみ取りました。特派員が中心となって、現地の婦人会の方にも協力してもらいながら毎週の活動を続けています。
他にも、震災時に金銭的な支援を行ったり、全社員の自宅に眠っている衣類をかき集めて段ボール12箱分送ったりしたこともあります。ネパールでは、まだ衣類が十分ではない状況なので、喜んでもらえたようです。最近流行しているリサイクルも良いですが、そもそも捨てないで役立ててもらえる場があるなら、是非活用してもらいたいですよね。
ーー本当に幅広い支援を行っているんですね。「今」だけではなく、子供たちの未来まで強く意識した、とても愛のある支援だと感じました。
- 杉﨑さま
そうですね、かなり大規模な支援になっています。こども食堂も、食材は現地で調達する形にしています。日本から食材を運んで……というやり方よりも、その方がネパールの経済に良い影響を与えるはずですからね。
最近では、婦人会の方たちがつくった天然素材を使用したスリッパや鍋敷き、猫用ベッドなどの輸入販売も行っています。作っても売れないという状況が続いてしまうと、ネパールの人たちの働く場所がなくなってしまいます。私たちが安定的な受注をすることで、婦人会の女性たちの働き口の確保できればという考えです。そして、環境に配慮した製品が広まることで、さらなる社会貢献に繋げられればと考えています。
ーー天然素材のスリッパを実際に触らせていただきましたが、見た目がかわいらしいうえに、肌触りも良いので魅力的でした。購入されるお客様は、ネパール支援へ共感してくれる方も多いのでしょうか。
- 杉﨑さま
今は、純粋に商品に魅力を感じて購入していただいているお客様がほとんどだと思います。店頭では、「ネパール支援」というような言葉は一切表現していないので。もちろん、小売店バイヤーとのやり取りの中で、ネパール支援について説明はさせてもらっています。「良い取り組みだね」と賛同の声をいただくことも多いですよ。ただ、その想いをすべて汲み取って販売してもらうというのはなかなか難しいところです。
SDGsへの取り組みは可視化されていますが、輸入品によるネパール支援は目に見えづらい部分があるというのが現実ですね……。
オフィスにもあふれる「OFF」
ーーサステナビリティへの取り組みに対して、強い意識を企業として持っているかと思います。社内で共通認識を持ち、同じ方向を目指して歩んでいける理由として、コミュニケーションの場が多いのでしょうか。
- 杉﨑さま
社員の交流の場は多いですね。オフィスには「サンタンバー」と呼ばれる大きな冷蔵庫が設置されていて、終業後に自由にお酒を飲みながら社員同士で話をすることができるんです。お店に出かけるのもいいですが、たまにはオフィスで「OFF」な時間を楽しみたいものですよね。2か月に一度は集まってピザ、お寿司、そしてお酒を楽しみながら役職関係なくコミュニケーションを楽しんでいます。出入り自由で、「今日は一杯だけ」とサクッと帰るメンバーももちろん歓迎です。
あとは、私の実家が農家なので大量の野菜が送られてくるんですが、それを配って持ち帰ってもらったり。これがひとり暮らしの若い人たちに案外喜んでもらえるんですよ!
とにかく、オフィスでも「OFF」な時間を作ることで、メリハリが生まれただけでなく、長く働いてくれるメンバーが増えました。「社員は宝」だと思いますので、本当にありがたいことです。
ーーサンタン様が、これから実現していきたい「OFF」はなんでしょうか?
- 杉﨑さま
「捨てるをなくす」という第一ステップがクリアできたので、ここからさらに地球環境への負担をどのように「OFF」していくかが課題だと思っています。パッケージ一つでも、環境に配慮した工夫ができるはず。例えば、現在販売しているキャラクター絆創膏など紙素材の商品については、SDGsに配慮した森林認証紙への切り替えを計画をしています。まずは社内の物流センターから森林認証紙の使用をはじめている段階です。
バスボールも、商品自体の廃棄を無くすだけで満足せず、入浴剤を使った後の排水についても責任をもって取り組む必要があると考えています。もちろん、ネパールへの支援も、引き続き進めていきます。