
「捨てるをなくす」の想いがつなぐコーヒーの未来。ーアライドコーヒーロースターズ株式会社
まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう、日本の食品ロス。その量は年間約472万トンにものぼると言われています。2025年7月14日発売の「アエナ ドリップコーヒーオリジナルブレンド」は、そんな食品ロスを少しでも減らしたいという想いから生まれた、規格外豆を活用したコーヒーです。
今回は、製造にご協力いただいたアライドコーヒーロースターズ株式会社の皆さまに、本製品に込めた想いやこだわり、持続可能な社会を目指す取り組みについて伺いました。
まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう、日本の食品ロス。その量は年間約472万トンにものぼると言われています。2025年7月14日発売の「アエナ ドリップコーヒーオリジナルブレンド」は、そんな食品ロスを少しでも減らしたいという想いから生まれた、規格外豆を活用したコーヒーです。
今回は、製造にご協力いただいたアライドコーヒーロースターズ株式会社の皆さまに、本製品に込めた想いやこだわり、持続可能な社会を目指す取り組みについて伺いました。
▼インタビュイープロフィール
アライドコーヒーロースターズ株式会社 取締役 営業部長
青木慎一(あおき・しんいち)さま
アライドコーヒーロースターズ株式会社 品質保証部 関西品質管理課 課長
横田絵里子(よこた・えりこ)さま
▼アライドコーヒーロースターズ株式会社とは?
「一杯の感動を一緒に創造したい」というメッセージを掲げ、工業用・業務用・家庭用のレギュラーコーヒーを製造するOEM企業。味や香りへのこだわりはもちろん、持続可能なものづくりの実現に力を入れています。
▼アエナオリジナルブレンドとは?
株式会社アエナの販売するオリジナル商品で、規格外豆を使用した家庭用コーヒー。
一般では流通せず、廃棄されてきた規格外豆を原料として活用することで、食品ロスの削減と環境負荷の低減を目指した商品。
特設サイト:https://www.aena.co.jp/aena_original_blend/
OEMならではの廃棄課題と、共感で越えた“企業の壁”
ーーこの度は、「アエナオリジナルブレンド」の製造をお引き受けいただきありがとうございました!おかげさまで、食品ロス削減につながるだけでなく、おいしさにもこだわったコーヒーが生まれました。
まずはじめに、今回のプロジェクトにはどのような経緯でご協力いただけることになったのか教えていただけますか。
- 青木さま
「規格外豆を使用したコーヒーを商品化したいのですが、どうにかつくることはできませんか?」——そんなご相談をアエナさんの営業担当の方からいただいたのが、今回のきっかけです。
新しい取り組みだったので、様々な課題がありましたが、一つひとつ解消しながら製品化までたどりつくことができました。
ーー「新しい取り組み」という言葉がありましたが、規格外豆を使用したコーヒーは御社にとっても前例のない取り組みだったのでしょうか。
- 青木さま
はい、私たちにとっても初めての取り組みでした。
コーヒーの製造過程で、どうしても一定量の廃棄が出てしまうことにずっと悶々としていました。そんなときに「こうした豆を活かせるマーケットがあるんですよ」と伺って、衝撃を受けましたよ。
まさに自分たちが抱えていた廃棄問題を解決する一歩になると思えたので、嬉しいご提案でした。
それに、最近は「廃棄をなくしていこう」という意識が社会全体でも高まっていることを、日々感じています。
まさに消費者のニーズに寄り添った取り組みだと感じて、ご一緒させていただきました。
- 横田さま
青木が言ったように、社内でも廃棄問題への意識が高まっていて、「少しでも廃棄を減らす方法はないか」と試行錯誤しているところでした。
例えば、コーヒー豆が入っている麻袋や、”チャフ”と呼ばれるコーヒー豆を覆っている薄皮など、すべて再利用できないかを検討していたんです。
そんな中でアエナオリジナルブレンドの取り組みが始まったので、いろいろな部署から「どんな内容なの?」と関心が寄せられました。
今回のプロジェクトは、私たちの会社にとっても良い刺激になっています。
ーー社内でもすでに反響があったとのことで嬉しいです!廃棄について悩んでいたと仰っていましたが、そもそもなぜ「捨てられるコーヒー豆」が生まれてしまうのか気になります。
- 横田さま
私たちがおこなっているのは、発注をいただいてから生産を開始するOEMビジネスです。お客様から指定されるコーヒー豆の焙煎度は、細かくチェックしてきちんと守る必要があります。
そのため、焙煎度がわずかに指定から外れてしまっただけでも、その商品は規格外品として廃棄しなければいけません。もちろん、品質にはまったく問題なく、美味しく飲んでいただけるようなものばかりです。それでも、ルール上は廃棄となってしまうのが、私たちとしても苦しいところですね。
- 青木さま
もうひとつ避けられないのが、発注量ぴったりに生産することが難しく、結果として余剰となるコーヒー豆が出てしまうことです。
例えば、100kgのコーヒーを納品する場合でも、焙煎の過程で生豆の水分が抜けたり、規格外品が発生したりしてしまいます。そのため、実際には約120kgのコーヒーを焙煎にかける必要があるんです。
このとき生まれる余剰豆も、当然ながらお客様からお預かりしている大切なもの。私たちの判断で勝手に再利用することはできず、廃棄せざるを得ないケースが多くなってしまっていました。
ーー「勝手に再利用することはできない」とのことで、規格外豆や余剰豆を使用するにあたり、お客様と交渉されたと伺っています。
- 青木さま
お客様と交渉する中で、「廃棄をなくしたい」「環境へ配慮したい」という想いは、どの企業でも共通の課題意識として持たれているのだと改めて感じました。中には、担当の方が熱意をもって社内会議にまで持ち込んでくださり、使用許可を得られたケースもありました。
アエナオリジナルブレンドに込められた「捨てるをなくす」という想いに共感いただけたからこそ、実現したことだと思います。
ーー社会全体での意識の高まりも追い風となり、今回の製品化につながったのですね!本当にありがたいことです。
プロが生み出す一期一会の味わいで、ワクワクも提供
ーーその時々に手に入る規格外豆を使用するため、製造ロットごとにブレンドの味が変わるのも、このコーヒーの魅力ですよね。一方で、毎回「おいしいブレンド」を生み出すには、ご苦労もあったのではないでしょうか。
- 横田さま
コーヒー鑑定士やQグレーダーなど、専門資格をもつメンバーが集まり、ブレンドの味を決定しています。規格外とはいえ、本当においしい豆ばかりなので、その魅力を余すところなく皆さんにお届けしたいという想いで取り組んでいます。
関東だけでなく関西のメンバーも集まり、管理方法やパッケージ表示、ブレンドの設計までをおこなっています。まさに、会社全体で取り組んでいるプロジェクトです。
ーー味の決め手は、プロの知見なんですね。味の組み合わせは、どのくらいのバリエーションがあるのでしょうか。
- 横田さま
取り扱っているコーヒー豆の産地は約15種類あります。
そこに豆のグレードや挽き方、ブレンドの比率を組み合わせると、バリエーションはもう、ほぼ無限大といってもいいくらいです(笑)。
正確に消費者の方にご案内するためにも、「どの国の豆をどれだけ使用したか」をきちんと把握する必要があります。だからこそ、そこには特に気を使いました。
ーー味のバリエーションが豊富だからこそ、何度でも違う楽しみがあるということですね。
- 青木さま
そうですね。毎回同じ味を楽しめるのも素敵ですが、その時々で違う味に出会えるのは、すごく新鮮でワクワクする体験だと思います!
私はパッケージに書かれている言葉が、とても好きなんです。
「あれ?前と味が違う!」と気づいたときに、ふとパッケージを読んで、新しい発見や気づきが生まれたら嬉しいですね。
ーーコーヒーは「いつもの味」を求めて購入されることが多いイメージがありましたが、「ワクワク感が好き」というお言葉にとても励まされました。
- 青木さま
たしかに、高級なコーヒーは「変わらない味」を求めて購入される方が多いのですが、今回のように手に取りやすい価格の商品では、「お得さに魅力を感じて、フィーリングで」選ばれることも多いと思います。
このワクワク感は、お客様にもきっと楽しんでいただけるはずです。
お客様とともに目指す、持続可能なコーヒーの未来
ーーコーヒー業界では「コーヒー2050年問題」が大きな懸念となっていると伺いました。やはり、重要な課題として認識されているのでしょうか?
- 青木さま
人権問題や少子高齢化、地域社会との共生など、企業として向き合うべき課題は多岐にわたりますが、「コーヒー2050年問題」は、まさにコーヒーに特化した重要なテーマです。
簡単に言うと、気候変動の影響により、主力品種である「アラビカ種」の栽培に適した地域が、2050年までに半減すると予測されています。
そのため、未来のコーヒーを守るには、サステナブルな生産活動と資源調達の重要性がますます高まると考えています。
ーーそうした背景を踏まえ、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか?
- 青木さま
特に力を入れているのが、コーヒー抽出後に残る”残渣”を乾燥させて、ペレット(固形燃料)に変えるという取り組みです。このペレットを焙煎時の燃料として活用する「グリーン焙煎」を実践しています。これにより、化石燃料を使用した場合に比べて、温室効果ガスの排出を大きく抑えることができるんです。
コーヒーを抽出した後に必ず出てしまう“残渣”をそのまま捨ててしまうことに、私たちも以前から課題意識を持っていました。
廃棄を減らし、持続可能な社会をつくっていくためにも、こうした循環型ビジネスに取り組んでいます。
ーー廃棄を減らし気候変動の抑制にもつながる、まさに「OFF」そのものですね。
- 横田さま
私たちにとっても、「OFF」は非常に大切な考え方です。
自社のコーヒーには本当に自信を持っているので、「せっかく美味しく焼いた豆を、捨てたくない!」という想いが常にあります。
1日に約100トンもの豆を焙煎しているので、「いかに無駄なく使い切り、お客様に美味しく飲んでいただけるか」が勝負なんです。
これまでに発生していた余剰品の発生率を管理・分析しながら、目標を立てて改善に取り組んでいます。
ーーコーヒーの未来を守るために既に様々な取り組みをされていますが、アライドコーヒーロースターズさまは、どのような未来を描いていらっしゃいますか。
- 青木さま
製造・販売・資源調達のすべての段階において、「持続可能な社会の実現」は欠かせない視点だと考えています。
私たちは、社名にもある「アライアンス(協業・連携)」の精神を大切にしています。
今回アエナさんと一緒に「捨てるをなくす」という取り組みを進められたように、これからもお客様と手を取り合いながら、社会課題の解決に向けて挑戦していきたいです。