現役高校生の「ひとり研究」から商品化を目指す。 “パイナップルの葉”から生まれた、人と地球にやさしい日焼け止め。
「群馬イノベーションアワード(GIA)2025 ビジネスプラン部門 高校生以下個人の部」で入賞を果たした現役高校生の田嶋さん。生徒会長を務めながら、持続可能な未来をつくるための研究に日々取り組んでいます。今回のGIAでは、“廃棄されるパイナップルの葉を有効活用した日焼け止め”を新製品のアイディアとしてご提案。パイナップルの葉に秘められた可能性や試行錯誤を重ねた研究方法、そして今後の商品化への展望についてもお話を伺いました。
▼インタビュイープロフィール
群馬県立高崎高等学校 2年
田嶋龍介(たじま・りゅうすけ)さん
▼群馬イノベーションアワード(GIA)とは?
新しい時代を生み出す起業家やそのマインドをたずさえた若い人材を群馬から発掘するアワード。開催13年目を迎え、毎年、「 社会課題を解決する」「人々の暮らしを変える」アイディアを募集しています。
授業の知識をフル活用!研究は“自宅キッチン”の片隅で。

ーーGIA2025受賞おめでとうございます!
大規模なステージに立ち、入賞まで果たしましたがどのようなお気持ちでしたか。
- 田嶋さん
ありがとうございます!
受賞したことを家族や友人が喜んでくれる姿を見て、「出場してよかったな」としみじみ感じました。
今回提案した、廃棄されてしまうパイナップルの葉に含まれた成分を活用した日焼け止め「Re・Leaf」は自宅のキッチンで研究を重ねていましたが、家族には詳細を説明していなかったので驚いたと思います(笑)
会場まで応援に駆けつけてくれた母の顔が、入賞が分かった瞬間、一目で喜びが伝わるほど良い表情になって、どんな言葉を掛けられるよりもグッと伝わるものがありましたね。

「提供:株式会社上毛新聞社」
ーーお母様をはじめ、周囲からの反応も嬉しいものだったのですね。
そもそも、“パイナップルの葉”に注目するという視点が斬新ですが、アイディアが生まれたきっかけはありますか。
- 田嶋さん
純粋に、パイナップルが大好きだという想いが前提にあります(笑)
「パイナップルはすごい食べ物なんだぞ」ということを皆さんに知ってもらうために、“食べる以外の使い道”は以前からずっと考えていてーー
そんな中、教科書を読んでいて、パイナップルの葉には「クチン」という紫外線を吸収する成分が含まれていることを知りました。
「これは日焼け止めとして使えるんじゃないか」とアイディアが浮かんで、今回の研究につながっています。
ーーパイナップルへの愛情が今回の研究に繋がったとは驚きです。
研究は“キッチンで”と仰っていましたが、どのような形で進めていたのですか。

- 田嶋さん
まずはパイナップルの葉をミキサーにかけて細かく砕き、溶剤を加えることで “葉に含まれている日焼け止めとして有効な成分”を抽出することから始めました。
それを実際に太陽光にさらし、「どれだけ日焼けを防ぐことができているか」という視点で検証を繰り返しました。
基本的に研究はひとりで進めていましたが、やはり行き詰まる瞬間もあったので、「Chat GPT」を思考の整理や効果の検証で活用する場面もありましたね。
ーーおひとりで限られた設備の中で研究をしていたということで、受賞までに苦労もありましたか。
- 田嶋さん
抽出方法など、基本的な部分はすべて授業で教えていただいた知識を活用しているので、あまり苦労だとは思いませんでした。
大変だったのは、パイナップルを腐らせてしまわないように管理することくらいですね。
約半年の研究になりましたが、検証をしている中で、「クチンが上手く作用し、日焼けしていない現象」がみつかると嬉しくて、ワクワクしながら研究を進めていました!
また、GIA出場準備は、岡田先生や物理部の友人にもアドバイスをもらいながら進めていました。
「スライドの文字フォントはこれが見やすい」「プレゼン構成はこっちの方が理解しやすい」など、自分だけでは気づけない部分まで指導をしていただき、本当に感謝しています。

画像左:群馬県立高崎高等学校 SSH主任 岡田直之先生。GIA出場に向けて、田嶋さんをサポートしました。
「もったいない」を「新しい価値」へ。
パイナップルで切り拓くサステナブルな未来
ーーアワードも終了し、研究は一区切りついた段階だと思いますが、今回の「Re・Leaf」について今後の展望はありますか。
- 田嶋さん
商品化を目指して、さらに研究を進めていきたいです!
これから受験シーズンに入って忙しくなるので、あと半年ほどで納得のいく形まで進められたら嬉しいですね。
今回は自ら考案した独自の方法で効果を検証しましたが、商品化をするためにはやはり、効果をより科学的な方法で客観的な数値で示すことが必要不可欠だと考えています。
「分光光度計」という紫外線を測る装置があるので、それを使用して数値を正確に測定すると共に、効果をさらに高めていくことがこれからの課題です。
ーーパイナップルの葉を活用した地球に優しい商品が生まれたら、消費者からも大きな反響が得られそうですね。田嶋さん自身は、地球の未来についてどうお考えですか。
- 田嶋さん
そうなれば本当に嬉しいです。
受験を控えて将来について考える機会が増えるなかで、やはり“SDGs”というキーワードが自分の中にあることに気づきました。
「社会貢献」と言うと少し大げさに聞こえるかもしれませんが、それが指標のひとつにはなっています。「パイナップル」を例にとっても、今回注目した“葉”だけではなく、活用の可能性は無限にあります。
例えば、皮には耐火性があり、繊維部分はレザーとして活用することも可能です。ただ廃棄してしまうのではなく、新しい価値を見出す道をこれからも模索していきたいと思います。

群馬県立高崎高等学校 SSH主任
岡田直之(おかだ・なおゆき)先生より
「パイナップルの葉を活用して日焼け止めをつくる」という発想が、まずはとても面白いと思いました。そして、興味をきっかけに“自分のできる範囲に落とし込み、実際に研究を進める”というのが、彼の素晴らしいところだと思います。
本校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)のため、普通の学校には備わっていない設備や測定装置が揃っています。「高校生だからできない」というような、研究の障害を取り除くことで、今後も研究をサポートしていきたいです。
取材を終えて 筆者より
私たちアエナは「世界中の捨てるをなくす」というミッションを掲げ、企業として廃棄ロス削減に取り組んでいます。今回、学生という立場でありながら、個人でこの大きな社会問題に正面から向き合い、解決の糸口を見出した田嶋さんの姿には、多くの刺激と勇気をいただきました。
「廃棄されるパイナップルの葉」にも新たな価値を見出すその姿勢は、まさに私たちが目指す姿そのものであり、サステナブルな未来への希望です。可能性を信じ、試行錯誤を繰り返して生まれた日焼け止め「Re・Leaf」が商品化され、店頭に並ぶ日を心待ちにしています。社会に大きなインパクトを与えるであろう田嶋さんの挑戦を、これからも応援しています!